東京・大学病院
産婦人科

この日、病院にやってきた美華は政子の妊娠の本当の真相を突きとめようとしていた。

(どう考えてもおかしいわ!!
あの女が不妊治療から帰ってきたその日に義昭の子を身籠もるわけが無い!あの日、二人はセックスをしていないはずだわ!
義昭は政子の寝室に入ってからものの10分で出てきたところを見たんだから!)
と疑っている美華。
怒りで燃えている目をしている。

そして政子の掛かり付けの産婦人科医に話を聞こうと診察室へ入った。


そんな事とは知らない医師が、
「今回はどの様な病状で…」と美華に診察をしてくる。

美華は、
「ちょっと恋わずらいみたいなもので!」っと軽くボケてみたものの、
「プライバシーに差し支え有る事ですから、看護師を御外しくださる。」
と言って看護師を追い払うと、率直に、
「確か、この病院に『川添政子』っていう患者さんが来院なさってるはずなんですけれど……。不妊治療で。ご存じですわよねぇ?」と問い詰めた。

医師は美華の鬼気迫る表情に動揺しながらも「随分と、前の話ですから…。」と退けるように言うと、