その言葉を聞いて呆気にとられる政子。
「・・・の・ぞ・み?」と、つい聞き返してしまった。

「ママっ!!
ママがつけてくれた名前じゃないの~。忘れたの?私の名前は『望美』でしょ!?ママの子供の『望美』よ!」と少女は少し怒っている。

政子はとっさに、
「……ごめんなさいね。望美ちゃん……よね!」と、多少の違和感を感じながらも自分自身を強引に納得させて言った。


「望美ちゃんじゃなくて、『望美』って呼んで!ねぇママ、お願い!望美って呼んで!」と政子にしがみつき訴える望美。

動揺しながらも、
「・・・の、・・望美。」と政子は優しく言うと、なんだかとても嬉しくなり目に涙を浮かべていた。
そして望美を自分の胸に抱き寄せ、
「望美・・・。
私の・・!
私の・・!

ありがとう・・。
」と言いながら泣き出してしまった。

望美も政子の腕のなかで必死にママに抱きついて、
「ママ!ママ!早く逢いたいわ!早く一緒に遊んだり…笑ったり…ママのお膝でお寝んねして…抱っこしてもらって…絵本を読んでもらって……。」
とハラハラと涙を流しながら囁いている。