政子は意を決して、
「お願いします!」
と義昭の前で跪く(ヒザマズク)と、
「どうか、どうかこの子を、義昭さんと私の間の子だということにして下さらないかしら!!」と訴えた。



「そんな!!偽装しろっていうのか?」
とますます政子の気持ちが理解できない義昭。



すると、
「触って!!!」
と政子は義昭の手をとり、自身のお腹を触らせた。



義昭は、お腹のなかで赤子が活動してるのがわかった。微妙だが心拍がトクトクと動いている。そして優しくトントンと子宮の中から反応しているような感覚も手に伝わった。



政子にはもう母性本能が芽生えてしまっていた。
これは例え、相手が悪魔だったとしても女として抑えることのできない心情だったのだ。

腹の中の赤子を感じた義昭はやりきれない思いで政子を見つめていた。



政子は再度、義昭に跪くと、
「どうか義昭さん!!どうか、どうかお願いします!!」
と悲願したのだった。