寝室ではで泣きじゃくっていた政子がボーと窓の外を見つめていた。


そこに義昭がやって来た。


何も言わずに政子の肩にそっと手をおくと自分の胸に抱き寄せた。

義昭が、
「すまなかった…。
明日、美華のやつに謝らせるから……。
大丈夫だよ、子供はそのうち授かるから……。」
と政子の肩をさすりながら言う。


「ごめんなさい。
もう大丈夫だけど、今夜は一人で寝させて欲しいの。。色々考えたいから。」
と政子は答えた。


気持ちを察した義昭はすまなそうな顔をしながらも、
「分かったよ。おやすみなさい。」
と言ってササッと部屋から出ていった。



(どうしてなの……。どうして私には子供ができないの………。
義昭さんのこと、誰よりも愛してるのに……。)


再び涙が溢れ、政子は我慢ならなくなってギャアギャア叫び、手に握っていた婦人体温計を壁に投げ付け破壊し、毎日欠かさず付けていた基礎体温表のグラフ図もビリビリに引き裂いてしまった。
そしてワァワァと嘆きだした。