東京・大学病院
産婦人科

看護師に案内され、診察室に入る政子。
「あの、どうでしたでしょうか?」
表情は不安そうだ。

全国でも産婦人科医の名医と言われる男性医師が、
「検査の結果、政子さんの場合、特にこれといって不妊症に至るような原因がありません・・。」

(!?)

「ホルモンの分泌量も年齢の平均値ですし、子宮にも異常がなく、子宮筋腫や子宮内膜症も考えられない。となると坑精子抗体がある可能性も考えられますが、政子さんの血液からは検出されなかったんです。
旦那様の精子も検査しましたが健全で異常は見られませんでしたし・・。」
と説明した。

「は!?そんな・・!もう1年以上も・・!!その・・・。」

「わかっております。ただその日の体調やお互いの抱えるストレス、精神的な面が原因ということもありますからね、ゆっくり治療していきましょう。」
と医師。

「・・・よろしくお願い致します。」

政子は深々と頭を下げた。