「そしてクララは毎日毎日、御屋敷の意地悪な主人や夫人にこき使われていたのでした。
そんなある日、クララが物置部屋で寝ていると突然、神様がクララの元へと現われ、彼女にこう囁いたのです。

『今から私が貴女に最高の宝を授けてあげます。それは、貴女にとって地位や名誉やお金にも替えられない永遠の素晴らしい財産となり、貴女をこの苦しみから救い、幸せをもたらしてくれるでしょう!!』
と告げるとクララのお腹にソッと手を添えて消えていってしまったのです………。」


声に出して読んでいる政子はこのあたりからビクビクと震えはじめた…。

実体験と重なる描写が次々と出てくるからである。


「………次の日、不思議にもクララのお腹の中には小さな命がやどっていたのです。

クララの妊娠を聞き、驚いた屋敷の主人の息子・レオナルドは僕たち二人の子供にしようとクララを説得し、密かにレオナルドを愛していたクララは大喜びでその事を受け入れたのでした。
一家の主人と夫人はいくらクララが奴隷の召使いであったとしても、レオナルドの子を妊娠してしまった以上、反対することはできず二人の結婚を認めることしかできませんでした……。」