その日の午後



一階のリビングルームでは、美華がCHANELやらGUCCIやらの特別カタログをﾍﾟﾗﾍﾟﾗめくりながら、紅茶を飲んでいた。



政子もリビングにやってくる。



美華は全く何もないかのように呑気に、
「政子さん、コーヒーでもお飲みになる？」と尋ねてきた。


「い、いいです。」
と断る政子。


「ハッ！！」



テーブルに置かれている料理に目がいった。


御膳に乗せられた料理の数々は鶴子の部屋へ持っていくものだ。


そんな政子を見た美華が、
「政子さんそのお料理、お母様の所へ届けてやってくださいな！！
なんでもお手伝いまでもが気味悪がって、持って行きやしないんですよ！！持っていってやってくださいな！！」
と政子に言い出した。

すぐさま、
「気味悪いって、どういうことですの…？」と不安けに聞く政子。


そんな政子をあしらう様に美華は、
「行ってみてくりゃあ判かりますわよ！！
つべこべ言ってないでとっとと持っておいき！！！」
と言い伏せた。


「は、はぁ。」
と、仕方なく鶴子の部屋へ料理を持っていく政子であった。