それは長い体を雲に付けた隙間から抜き出すと、まっすぐにこちらを見た。 わ。 龍だ。 本物を見たことがある訳でもないのに、一目でそれだとわかるイキモノ。 いや、イキモノだっけ? あれは架空の者ぢゃなかったか…? なんだか、真っ白な体のそこだけ深紅な目で、こちらをうかがっている気がする。 それが、気のせいじゃないことは、すぐに分かった。 向かって来ている。