「要る?」

彼の差し出された手には
水色の折り畳み傘が握られていた。

「いいよ!大丈夫!」

「…傘ないと、木下さんが家に帰れないじゃん。」


「でも!」

なんだか私は藤井君と
会話していると言うことが
とても嬉しいみたいだ。

久しぶりに笑顔になってる。


「でも、そうしたら藤井君が帰れなくなっちゃうよ?」

「いいよ。濡れて帰るし」

「ダメだよ、風邪引いちゃう。」

「僕は木下さんに風邪引かれる方が困るんだけど。」


きゅん、
と胸が熱くなる。
嬉しいこと言ってくれるじゃん

でも女の子みんなにそんなこと言っているのかと思うと
胸が痛くなった。