「梨加が二十歳の時に出会って、僕は梨加に一目ぼれしたんだ。」


(うそ………っ。)


「それで付き合うようになってしばらくして梨加は妊娠した。」


(だってお父さんは死んだって…………。)


「でも僕はあの時この会社を設立したばかりで心にゆとりがなくてね〜、梨加の心が離れていくのにもまったく気付かなかったんだよ。」


(何それ………………。)

「梨加は僕を責めることもなく僕の前から姿を消したんだ。」


(それで、今さら何なの?)

「僕が君の前に姿を現さなかったのは梨加がそれを望んでいたからだ。僕は今までずっと梨加と君のことを忘れたことはない。」


(……………。)