「はぁ―……はぁ―……」
額にうっすら汗を浮かべ、ここまで走って来たことがわかった。
「じゃあ、鈴加。俺、先に帰るな?」
「えっ……」
ポンッと肩を叩いて、智也は帰っていった。
「「………」」
無言の空気があたしと司先輩との間に流れる。
「俺さ……」
そんな沈黙を先に破ったのは、司先輩。
「ずっと不安だったんだ……」
「……」
いつもの司先輩ならあり得ないような、小さくて弱々しい声。
「不安って……」
「鈴加が俺を好きでいてくれてるか……ずっと不安だった」
え……
「だからヤキモチを妬いて欲しくて、他の女と一緒にいた……」
「……」
「でも、それはただの自己満足だったって気づいたんだ……」