しばらくして女は、意を決したように立ち上がった。

もっとも、足は完全に震えているが。


「今からお金を持ってくる…だから、ここで待ってて。逃げたらすぐに学校側にチクるなりなんなりすればいいわ…」


急に強気なお嬢様に戻った女は、駆け足で暗闇に消えた。


「これで今日も遊べるね、瀬那!つか腹減んない?駅前のファミレスにでも行こうよ」


「そうだね。まあとりあえず、由香んちにメールするわ、遅れるって」


由香は他校だが同い年で、そこの不良グループではリーダー的存在だ。
私らの間では有名な援交少女である。

「そーいや由香、生理だっけ?今日絶対苛ついてるってー!」


「あいつが怒るとめんどくさいからやなんだよ…」


「そーそー、先月なんてカラオケ屋の窓ガラスを…」



急に陽子が私の後ろを見つめる。
私もつられて振り向くと、さっきの女。