由香は外でこういうことをされるのが苦手だ。

しかし男は遠慮しない。


「もう、たーくんてばエッチなんだから!分かった、またあとでね?」


「約束だからな?」


男は由香に半ば無理矢理キスをしてその場を去った。

由香は少しイライラしていたが、自身の手元を見ると笑顔に戻った。

右手には見慣れない指輪が。



「あれ?それどしたの」


さりげなく聞いてみる。


「これ?昨日パパにねだって買ってもらったのー♪
本物のピンクダイヤ2.5カラットなんだー」


パパとはもちろん実の父でなく援交相手。

由香の相手は複数いるので誰かは分からないが、おそらく一番お金持ちだというIT企業の取締役とかいう人だろう。

ピンクダイヤって、よく分からないけど高いみたいだし。

そっか、だから由香、機嫌いいのか。