心が雁字搦めにあって身動きできないまま、大輔くんが出ていった教室のドアを眺めていたら



「大丈夫?梨華───」



沙羅が、肩をポンと軽く叩いて心配そうに微笑んだ。



「沙羅…大丈夫だよ当たり前じゃん、次の授業、美術だよね?早く行こう。遅れたら、あの先生怖いもんね」



無理やり笑顔を作って明るく言った。


じゃないと…泣いてしまいそうだから───…余りにも悲しすぎて泣き崩れそうだから─────…。