彼こと児嶋 賢也にあったのは今から一年前。
私が高校一年生の時。

児嶋くんは私の親友の佐藤 結花理の彼氏として登場した。
結花理ちゃんとは中二からの友達でもう一人の友達の琴ちゃんこと藍沢 琴深は私の親友と言っても過言ではない。

児嶋くんと初めて会ったのは学校の帰り道だった。

「見てみてこれ。恋愛特集だって。」
「琴は相変わらず好きだよね、そうゆうの。」

琴ちゃんは大きくページを開きながら私と結花理ちゃんに見せてきた。
そんな琴ちゃんの行動を見て結花理ちゃんは長くてキレイな髪の毛を耳にかけながらからかい、私は見ていたファッション雑誌を戻しながらページを見た。

「そんなふうにバカにしていいのかな?」
「バカにしてないよ。ただ琴らしいなと思っただけ。千鶴もそう思わない?」
「たしかに琴ちゃんらしい。」
「ちーまでそんなことを言うか。」

私たち二人の言葉に大袈裟すぎるリアクションをとる琴ちゃん。
スポーツをするのに邪魔にならないようにと切り揃えられた髪の毛を乱しながら拗ねたような表情を見せる。

「琴ちゃんの恋愛に対する向上心は拍手だよね。」
「さすが琴。」
「おだててもムダだからね。」