思わず大きな声を出すと先輩は少し驚いた顔をしながら、

「ありがと~、でもね、あいつは騙しの天才だからね。」

「へ?」

私は中村先輩の言っている意味がよくわからず聞き返すと、

「あぁ、騙しはひどいかな?フェイクの天才って言った方がいいかもね。」

中村先輩はそういうと岸谷先輩の方を指差すそれにつられて私も岸谷先輩の方を見る。

「ほら、麗の目見てみて。あいつ目線と違う方向にボールやってるでしょ?あれがフェイクっていうんだよ。あいつはほんと人の心読んでんじゃないかってくらい俺らの考えてる方とは別の方に持ってくからね。」

・・・てゆうかほんとに人の心読んでるんじゃないだろうか・・・。

「うん、俺も一回そんなこと考えたことあるけど非科学的だしね~。」

!??

「せ、先輩も人の心が!!」

そういうと先輩はけらけら笑いながら、

「真奈ちゃんは考えてることが顔に出やすいんだよ。」

え・・・あれ?

「そ・・・そんなに出てます・・・?」

私はそう言いながら自分の顔をぺちぺち叩く。

「うん、すっごい出てるよ。見ててすっごいおもしろいよ。」

先輩はそれだけ言うとまた岸谷先輩が試合をしている方を向く。