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「・・・なんでもねぇ」

そう言って手を離した碓井先輩は私から顔を逸らして、目を合わせずに、

「飲みもん持ってくる」

そう言って、下に降りて行ってしまった。

・・・?

なにか言いたいことがあったんじゃないのかな・・・?

まぁ、いいか・・・

まだちょっと気にかかることもあったけど、私は部屋に帰る事にした。

「おかえり。」

部屋に入るなり私の視界に入ったのは進藤君が机に突っ伏したまま片手だけをあげてる。

「・・・進藤君。大丈夫・・・?」

そう声をかけると進藤君は顔をあげて、

「初めてこんなに勉強した。」

ふ~っと息をついて髪をかきあげながら目を擦ってる。

その色っぽい仕草にドキドキしてると、

碓井先輩が片手にコップを3つ持ってもう片方の手にはジュースを持って帰ってきた。

「進んだか。」

碓井先輩はそう言って床に座るとコップにジュースを注いでる。

「はぁ、少しだけ。」

進藤君はそう言うとまた教科書に視線を落とす。

それを見た私も急いでノートに目を通していると

「ん~・・・?」

横の方から寝ぼけた声がした。