先輩はノートを受けとると頬杖つきながら一通り目を通すと、

「30個中21個違う。」

そう言って私を見つめる碓井先輩の顔は明らかに怒ってて、

「ごめんなさい・・・」

うつむいて謝ると、

「絶対この中から20問出る。全部覚えるまでひたすらやれ。」

そう言ってノートのページをめくる。

「え!?絶対出るんですか!?」

「あぁ、毎年この漢字問題だけは代わらねぇ。」

「がっ、頑張りますっ!」

「あぁ。」

私はそれから何回かやり直しをして、やっと全部書けるようになった。

「できた・・・」

「よし。漢字ができれば大丈夫だ。次、社会。」

「はいっ」

なんだか少し碓井先輩の口調が柔らかくなって、褒められたような気分になってちょっと嬉しかった。

「お前、公民が駄目なのか・・・」

碓井先輩は呆れたような顔で溜息をついてる。

「う・・・よくわからなくて・・・」

「とりあえず憲法は絶対内容も含めて憶えろ。」

そう言いながら碓井先輩は岸谷先輩のカバンからノートを取り出して、どこから取り出したのか、赤シートを持っていた。

「・・・これ、岸谷先輩がつくったんですか?」

「あぁ、あいつが一年の時に要点整理したやつだ。」

・・・・すごい・・・・