「ははっ、じゃあ、そろそろ帰ろうか!」

お兄ちゃんはスクッと立ち上がるのを見て私も立ち上がる。

「じゃあ、DVD借りに行こう!」

お兄ちゃんはそう言って歩き出す。

「うんっ!」

私は元気に返事すると急にお兄ちゃんは私の手を握る。

「?」

お兄ちゃんはそのまま歩いてるけど、その横顔はとても厳しい顔をしてる。

その目はあるところを見ていて。

その先にはある人がこっちに歩いて来ていた。

私はその人を知ってる・・・・おじさんだ。

「やぁ、偶然だね。」

おじさんはそう言って片手をあげてる。

私は頭を下げようとしたけど、お兄ちゃんは挨拶をしているおじさんの横を何も言わずにスッと通り過ぎる。

「お兄ちゃん?」

「振り返るな。」

お兄ちゃんはそう小声で言うと速足で歩く。

「随分な挨拶だねぇ~。じゃあ、また今度君たちのところに挨拶しに行こうかな?」