私の横から聞こえてきた声に振り向くと碓井先輩は呆れ顔で私を見てる。

「いや、あの・・・この子。泣いちゃってますよ。」

「龍斗か。」

その途端男の子はバッと顔をあげて碓井先輩に抱きつく。

「なんで泣いてる。」

碓井先輩はそのまま男の子を片手でひょいっと抱きかかえて男の子をジッと見てる。

それでも男の子は嗚咽を繰り返すだけでなかなか喋らない。

「話してくれないとどうしようもない。話せ。」

小さな子にその言いようで良いのかなと思っていると男の子は口を開いた。

「ママっがっ・・・僕のっおもちゃっ・・・捨てたぁ・・・」

男の子は嗚咽を含みながら一生懸命話してる。

碓井先輩はその男の子の背中をポンポン叩きながら話しやすいようにしてあげてる。

「そうか、じゃあ俺が勝手に捨てんなって言っといてやる。それでいいか?」

碓井先輩がそう言うと男の子はニカ~っと笑ってコクコク頷いてる。

・・・凄・・・

ちゃんとお兄ちゃんやってるんだぁ・・・

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!遊ぼぉ!」

男の子がそう言うと碓井先輩は心底めんどくさそうな顔をして、