「で、そこに、」

そう言って中村先輩は私を指差して、

「真奈ちゃんが来たわけ。」

「私?」

私は自分を指差して首をかしげると中村先輩はニッコリして、

「そ。真奈ちゃんが体育館の入り口でボールに直撃した時があったじゃん。」

私はあの時の事を思い出して恥ずかしくてうつむくと中村先輩はクスクス笑って、

「あの時はまた俺ら狙いの女だろうって思ったんだよ。」

そこまで言うと中村先輩は私の頭を撫でながら、

「でも違った。体育館の隅に座ってたときにわかった。あ、この娘は違うって。」

「なんで、わかったんですか?」

「目が違ったんだよ。いつもの女たちみたいに誰に好意を抱いてるような目じゃなくてただ本当にバスケを見て笑ってるんだって。」

「あ・・・」

確かにそうだった。別に好きとかじゃなくてただバスケが凄いって思った。

「だから、嬉しかった。真奈ちゃんがマネージャーになってくれた時。」

そう言うと中村先輩は私の頬にまた触れて上下に撫でる。

「っ」

くすぐったくて体が震える。

「ね、だから、お願いだから、笑っててよ。俺もその方が嬉しい。」