「あの・・・」

私も進藤君の後ろから少し顔をのぞかせたまま口を開くと岸谷先輩は、『ん?』と言う目で私を見てる。

「遅くなってごめんなさい・・・」

そう言うと岸谷先輩はニッコリ笑いながら、

「ん、よろしい。」

満足げにそう言う。

「あの、」

またおずおずと口を開くと岸谷先輩は頭の上に?を浮かべながら私を見つめる。

「お、怒ってませんか?」

すると岸谷先輩はフッと笑いながら、

「あぁ、今朝の拓未のヤツ気にしてんだ。」

あっさりと私の心を見透かす。

「あれはね、ほんとは遅刻した事に対してじゃないんや。」

そしてそのまま言葉を続ける。

「あいつも、いろいろあるからね。」

そう言いながら笑う岸谷先輩。

『何があるんですか?』という疑問が出たけど口にはしなかった。いや、出来なかった。

岸谷先輩の笑顔が『これ以上聞かないで』って言ってるみたいで・・・聞けなかった。

「まっ、でも。遅刻しすぎると俺も怒るよ?」

いつもの笑顔に戻った岸谷先輩は首をかしげながらそう言う・・・

「はい・・・」

ただそう言っただけなのになんとなく威圧感がある・・・から、大人しく頷いておいた。