「…な、紗那ー」


リビングからアタシを呼ぶヨシの声がする。


「ヨシ、何ー?
どうしたの?」


「これ、旨そうだな!
食べていい?」


「あぁー、それ…」


テーブルに無造作に置かれたままのケーキ。

明日渡すはずだった、

バレンタインのチョコケーキ。