そう言ってあたしの手を握り無理やり連れて行く。
「ちょっ…やめ…」
ギャルは全然聞こうとしない。
しかもさっきから鼻につく嫌な臭いがこの女から漂ってくる。
アルコール…
多分酒を隠し持ち込みしたのだろう。
バンッ
「女の子追加〜」
そう言ってあたしを部屋の中に突き飛ばした。
よろめいたあたしを誰かが支えた。
顔をあげた途端
あたしは息が止まりそうになった。
「…………た…たぃちゃん?」
その男は
は?
って顔であたしを見ていた。
「え〜?風の知り合い?」
「知らねーよ」
風 (ふう)
と呼ばれた彼は
驚くほどたいちゃんに似ていた。
顔も
声も
髪型も
だけど、どこか
たいちゃんとは違う。
あっ。わかった。
手だ。
たいちゃんよりも少し太い手。
骨がたいちゃんよりも
くっきりしていて触ったらゴツゴツする。
「俺、たいちゃんじゃないけど」