木下さんの名前が憎かった。



たいちゃんにあんなに優しく



由香



って呼ばれた木下さんが羨ましくて…





ただあたしはその場に立ち尽くしていることしかできなかった。




「もう帰ったら?」



たいちゃんがあたしに言う。




もうあたしはたいちゃんのなんでもないんだね。



あたしは無理に作った顔で



「はは。たいちゃんと木下さん付き合ってんの?ちょーお似合いだよ。あたし応援する」



そう言った。




木下さんは動揺していた。






え?



冗談のつもりだったのに…



本当…なんだ。





「ばいばあーい。お幸せに」




あたしはそう言って走り出した。