「樹先輩はどうやって釣られたんですか?」 「釣られた?」 「青春部ですよ、途中から入ったって聞きました」 「ああ、あの人に騙されたんだよ」 騙された? よくわからない話しに、首を傾げていると隣を歩く樹先輩が微かに笑う。 その笑顔にドキドキが速くなる。 「すっげぇいい女がいるから、見に来いって言われて」 残念な人はどうやら同じ手しか思いつかないらしい。 「これ言うなよ?」 そう言って私を見る顔が少し悪戯に笑っていて。