次の日、図書室の間借りスペースでそれを咲良先輩に見せる。
「そうか、そうだよね。どう考えてもそうだよね」
奈美ちゃんが咲良先輩の読むラブレターを見ながら頷く。
最後まで、想いを伝えることをしなかった青空先輩。
それはきっと言葉では伝えきれないほどの想いがあったから。
私たちにとって青春は青空先輩そのものだった。
でも青空先輩からすると、人生のすべては咲良先輩への想いで溢れていたのだ。
咲良先輩の夢にはたいして感心がないような態度だったのは、その隣に自分がいられないと知っていたから。
琥太郎先輩に厳しかったのは、自分の代わりに咲良先輩を支えられる男になって欲しかったから。
3号を咲良先輩と帰らせようとしたのは、新しい出会いを咲良先輩に与えたかったから。
青空先輩がいなくなっても、咲良先輩は生きて行かなければいけないから。
すべてはそのため……。