私を抱きしめながらそんなことを言う樹先輩は、どうやら思っているより自分に自信があるわけでもないらしい。
「樹先輩が好きですよ」
私がそう言うと、抱きしめる腕が少し強くなった。
「俺たちのこと、あの人喜んでくれるかな?」
きっと喜んでくれるよ。
だって誰よりも人の幸せを願った人だから。
私の幸せも……。
そうかっ!
「あのラブレターっ!」
突然大声を出す私に、樹先輩が不審な顔をする。
「ラブレター?」
「ほらっ、あの青春のラブレターですよ。あれって……」
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