ポッカリ空に浮いている風船だと思えば、手が届かない気がするけれど、どこか遠くの土地に落ちているものだと思えば、本気で欲しいなら探しには行ける。



地上を歩き、そこまで辿りつくことが出来れば、夢は遠くない気もする。



その間に、寄り道してもいい。



もし、寄り道した先で違う風船が見つかって、それが欲しくなればそれでもいい。



「ところで、君の名前は?」



今さらながらの質問に、思わずみんなが笑う。



「えー、名前も知ってもらえてないんですか?」



呆れて言う3号に、青空先輩が笑う。



「気にするな、そのうち君の名前は誰もが知るようになるんだろ?」



俳優になって有名になった時、3号の名前は嫌でも耳に入ってくるかもしれない。