「ごめんね、彩乃ちゃん。変なことに巻き込んで」



どうやらまともな思考の持ち主、やけに美人な咲良先輩の申し訳なさそうな顔にホッとする。



「いえ……」



「嫌なら断ってくれていいからね」



図書室の隅の一角。



本棚に囲まれる読書スペースが、青春部間借り部分らしい。



「おいっ、咲良。大事な新入部員になに言ってんだ」



大きな正方形のテーブルを挟んだ向こうに座る青空先輩が、咲良先輩を睨む。



「あのねえ、無理やりじゃあ意味ないでしょ?」



「馬鹿野郎っ! 無理やりなもんか。彩乃君はきっと青春部を気に入ってくれるぞ」