「おおっ! 新入部員第1号っ!」



そう叫んだ男が、あの壇上の男だと気付いた時には、私はすっかり肩を落としていた。



「つーか、すげえな。あんなもんで釣れるなんて」



樹先輩が感心したように呟くと、壇上の男が満足げに頷く。



「そうだろ? 名付けて『青春のラブレター、樹の顔で釣ろう作戦』だっ!」



「ちょっと、この子まだ入部するとは言ってないよ?」



「咲良ぁ、そこはお前の腕の見せ所だろ。可愛い下級生にこの青春部の楽しさを存分に教えて差し上げてくれ」



「ラブレター関係ないですよね。結局は樹の顔だけじゃないんですか?」



「馬鹿野郎っ! 琥太郎、お前は青春部の三カ条を忘れたのかっ!」