慌ててそう言った私に、やはり少し悲しそうな顔で呟いた。
「きっと可愛くないんだよ、好かれようとばかりして自然じゃないんだよ」
「そんなこと……」
「彩乃ちゃんみたく、自然で可愛くいたほうがいいのかもね」
咲良先輩がそう呟いた時、プールの扉が開く音がして振り返る。
「樹先輩……」
思わず呟いた私の声に、咲良先輩も振り返る。
困ったような顔の樹先輩の後ろには、青空先輩が立っていた。
「月夜……」
そう言った咲良先輩が立ち上がろうとする。
それは一瞬の出来事だったのにも関わらず、まるでスローモーションのように私の目には映った。