まったくわからない。 まるで狐に抓まれたようなもの。 放課後の約束をした樹先輩は、私が差し出した手紙などには目もくれず、教室に戻って行った。 そりゃあ悩んだ。 行くべきか行かないべきか。 だってまったく意味不明だから。 それなのに、放課後昇降口にいる私は、やはりあの笑顔がもう一度見たくて。 もうこの時には完全に騙されていた。 やけに優しげなかっこいい樹先輩に連れて行かれた先は、何故か図書室で。