海岸の砂浜で向かい合う私を見下ろして聞いてくるその瞳が、微かに揺れた気がした。



「なんですか?」



小さく返した私に、やはり躊躇うような口調で小さく呟いた。



「抱きしめてもいいかな?」



それはとても遠慮気味で、どうしてそんなことを言いだすのかよくわからなかったけれど、私は小さく頷いた。



繋がれた手が引き寄せられ、背中に腕が廻る。



頬に青空先輩のシャツが触れた時、私は残念な人に抱きしめられていた。



微かに聞える鼓動。



その音を聞きながら、海の向こうの人達を思った。



何だか少し幸せだったから。