電車を降りて、改札を抜けると潮の香りが風に乗って来る。



制服のままの私たちは、シーズンにはまだ早い海岸までの道を並んで歩く。



「デートみたいだね」



呟くようにそんなことを言いだす。



そう言われてみれば、そんな気もしてきて思わず青空先輩を見る。



あり得ない相手だと思っていたのに、こうして並んで歩いているとそうでもないように思えて少し笑う。



「よしっ! じゃあ今日は一日、彩乃君とデートしよう」



「はい?」



「いいじゃないか、デート気分で今日一日過ごそうよ」