聞き返されるとは思っていなかったので、一瞬言葉に詰まった。 「います……」 「そう、いいね」 「え?」 「彩乃君みたいに、センスのある子に好かれるなんて、その男は幸せだね」 まあ、この際センスは置いておくとしても、幸せなわけはない。 「そんなことありませんよ」 「どうして?」 「だって、まったく相手されてませんから」 小さく溜息をつきながらそう言った私に、青空先輩が視線を窓に戻しながら呟いた。