「はい、私も海見たいと思って」
そう言いながら青空先輩に顔を向けると、窓から射す朝の陽ざしを浴びた爽やかな笑顔。
「そうか……、海好き?」
「わかりません、別に好きってほどでもないです」
「泳げるの?」
「はい、まあ普通にですけど。青空先輩は?」
何気なくそう聞いた私に、少し困った笑顔を見せる。
「泳げない、でも海は好きなんだ」
都心のラッシュから離れた電車内は、人も疎らで穏やかな空気が流れる。
そんな中、普通のテンションの青空先輩と電車に揺られる時間は、思ったより悪くなかった。
いつもこのテンションだといいのに……。