琥太郎先輩や新入部員の1年男子のように、咲良先輩に釣られているわけでもないのに、青春部にいるのは変な話だった。
そうかぁ、やめたかったんだ。
『そうでもねえよ、犠牲になってるだろ』
犠牲になってるよね。
確かに犠牲になっている。
樹先輩の行き帰りが犠牲になってるよ。
そりゃあ嫌だよね。
どうでもいい1年の私たちの行き帰りに付き合うなんて、ホント犠牲になっている。
私は気付かれていないのをいいことに、階段を引き返して別の昇降口から外へ出た。
そのまま裏門から帰るその日の帰り道は、青春部に入ってから初めて一人で帰る寂しい道のりだった。