軽くそう言って、目の前の花に視線を向ける。



なにが?



「え?」



なにがよかったのかよくわからない私が聞くと、樹先輩が視線を花から私に移した。



「楽しめて、俺も意外に楽しいよ」



そう言って表の顔で笑う。



優しそうな笑顔を見せられると、本当に胸がドキドキするんだから。



いちいち、そういうのいいですから。



私をドキドキさせてもなにもないですから。



まあ、本人そんな気で笑ってるわけでもないんだろうけど。



「正直、花なんてと思ってました」