将ちゃんが部屋を空けている時に盗み見してしまった罪悪感はあった。



でも、知って後悔はない。




部屋に戻ってきた将ちゃんに、私は直ぐに話を持ち出した。





「……陽菜は携帯を見ちゃダメっしょ…」




……陽菜「は?」………



ビックリした顔をした反面、私がそんなことをするなんて思ってなかったという表情をしていた。



そしてその表情や言葉から、将ちゃんからしたら私は大した存在じゃなかったことが読み取れる。




携帯には、知らない女とのメールがたくさんあった。


着信もほとんどがその名前で埋めつくされている。




メールには




「愛してるよ(ハート)」




などといった、私には決して言わない言葉やハートが飛び交っていた。




週末会えないのもこの女が優先だからだ…と気づいたけれど、携帯を見て、自分が彼女じゃないことも教えてくれた。



ただ「彼女」と名付けられているだけで、何の意味ももたない言葉。




初めて味わった屈辱だった。