大「それで、好きな人って言うのは…」
ちょっとだけ、風が止んだ時に大河くんがそう呟いていた。
聞きたくない。
こんな日に、私の初恋を悲しく終わらしたくない。
と言う想いと、
聞きたい。
私の初恋を綺麗に、さっぱりと水に流したい。
と言う想いが、私の心の中でぶつかり合う。
聞きたくない。聞きたい。聞きたくない。聞きたい。
それでも、やっぱり最終的には決められなくて……
大河くんの次の言葉を待つしか、私ができることはない。
ほんの一瞬だけ、完全に風が止まった時に大河君が言った。
「俺が好きなのは、目の前にいる莉子だけだから。」