『ほらよ。これ飲めば温まるぞ』

『ありがとう』

私は、龍二からマグカップを受け取った。色からしてミルクがたっぷり入っている感じがした。一口、口に含むとやっぱり‥私が大好きなミルクティーだった。

『おいしい‥』

一口で体の芯まで温まった。
零さないように、ベッドの横の棚にマグカップを置いてから話し始めた。


『さっきは取り乱したりして‥ごめんなさい。いっぱい迷惑かけて‥ごめんなさい‥』

そう言って、少しの間下を向いていた。

『もういいから頭上げて?まっ、確かに沢山驚くことや不可解なことはあったけど』

『不可解なこと‥?そういえば、よく私の居場所が分かったね。あんまり記憶にないんだけど、でも居場所言わなかったよね?私だって、よく分からない所に迷い込んでたし』

『分からずにあの場所にいたのか?』

『‥うん。龍二の家に行く途中に疲れちゃって‥それであの駐車場で休んでいたの』

『休んでいたようには見えなかったけど?実際、外で電話してた訳だし』

『ごめんなさい‥でも、どうやって‥』

『あの会社な、俺の勤め先なんだ』

『へっ!?』

『陽菜と別れた後、会社に戻って最後の仕事をしてたんだ。仕事が全部片付いて帰ろうとした時に、ちょうど電話がかかってきてさ』

『そう‥だったんだ‥。そういえば、もうすぐだね‥日本発つの』

言葉に出して言ったら寂しくなってきた。


『止めようぜ!そんな暗い話し。明るい話でもしよう。いや、その前に聞きたいことがあるんだけどいいか?』

『うん、何?』

見る見るうちに、龍二の顔が険しくなっていった。

『俺と別れた後‥リュウジって奴に逢ったんだよな?なのに何で俺の会社の駐車場で、しかも雨の中で泣きながら俺に電話なんてしてきたんだ?それに、さっき結婚してて子供までいたって‥陽菜は騙されていたのか?俺に分かるように説明してくれ』


龍二‥もしかして、勘違いしてるのかな?私の気持ちに全く気付いていないのかも。あれだけ頑張って好きだって叫んだのに‥私一人ばかみたいじゃんね。

『ははは‥』

私は思わず噴出してしまった。

『何だよ~』

龍二も私の顔を見て笑い出した。