暗いよ‥恐いよ‥。誰か助けて‥龍二助けて!!


ガバッ

私はベッドから上体を起した。

『悪い。起しちまった?』

私の目の前にいるのは紛れもなく龍二だった。奥さんと名乗る女性の姿は見当たらない。私は、龍二から強く掴んでいた掛け布団に目を移した。これ、前に見たことある‥

『ここ‥は龍二の部屋?』

『おう。さっきいた部屋さ、9時退室だったから慌てて陽菜担いで退室したんだぞ。あ~重かった(笑)』

龍二は冗談ぽく言っていたけど、私の耳には入ってこなかった。これは夢?現実?まだ震えが止まらない。

『陽菜、魘されて震えてたから寒いんだと思って‥だから、掛け布団を顔まで被せたらいきなり起き上がるんだもん。ビックリしたぞ(笑)
恐い夢でも見たのか?それとも寒いか?』


今、私の目の前にいるリュウジは私に微笑みかけてくれている。さっき、私の目の前に現れた龍二は、違う女性に微笑みかけていた。どっちの龍二が本物‥?

私は両手をクロスさせて肩を掴んだ。


『龍二が‥結婚していた。綺麗な奥さんと子供に恵まれてた。私一人を残して光の方に向かって歩いて‥行った。私は一人残されて‥闇に呑まれたの。

暗くて恐かった。助けてって‥龍二助けて!!って何度もさけ‥‥キャッ』

龍二が私を抱きしめた。

『大丈夫。俺がついているから、傍にいるからもう大丈夫だよ』

そう言って更に強く抱きしめてくれた。

龍二の体温が伝わってきた。龍二の鼓動の音も聞こえてくる。よかった。私には龍二がいてくれる‥私はそのまま泣き崩れてしまった。