神は彼を奪う~君と生きた道~

毎日が嫌だ

学校に行きたくない

でも行かなければいけない

どうして私だけ........?


そんな風に思っていた私のもとへ


現れた天使

それが



あなたでした

これは、ずっとず─っと前の出来事。



「行って来ます・・・」
本当に学校に行きたくない・・・
学校に行けば、いつもの地獄が待っているんだから。

私、鈴鳥 玲。 高校1年生。
中学の時は学校が楽しくてしょうがなかった。
恋だってしてた。 友達だっていた。
・・・なのにどうして? 
どうして高校生活はこんなにも楽しくないの?
私にとって高校生活とは、地獄なんだ。
高校生になってから私に対するいじめが始まった。
それは本当のいじめと言っていいほど酷くて、時にはトイレの雑巾の絞り水を飲まされたりしていた。

「あ、来た来た!」
「”玲”だけに”幽霊”さーん♪」
「ギャハハハハハハハッ 幽霊さーん!!」
教室に入るといつもこれ。
周りからはいじめの言葉しか聞こえてこない。

もう・・・こんな毎日嫌だ。 生きて意味なんてない。

そう思って、自殺しようと何度も考えた。
でも、そしたら私の家族はどうなるの?
ただ悲しませてしまうだけ。
そんなのは嫌だから・・・。
「このクラスの、新しい仲間を紹介します」
と、担任が言った。
・・・転校生? 嫌だ。 私をいじめる人数は増えるだけ・・・。

...ガラッ。
教室のドアが開く。
入ってきたのは、ちょっと怖そうな雰囲気の男子。
私はますます怖くなってきていた。
するとその人は
「新しくのこの学校に転校してきました、兼田 朝飛です。」
ちょっと笑いながら言った。


私は別にかかわる気もなかったし、もしろかかわりたくなかった。
朝飛くんが転校してきてから数日。
朝飛くんは性格が明るく、男女問わず人気があり、あっという間に人気者になっていた。 そんな朝飛くんが羨ましい・・・。
そして、朝飛くんは私の席の隣。
いつもみんなが集まってくるけど、私はみんなが怖くてその場を立ち去る。 朝飛くんとは話してみたいのに・・・。

そんなある日、
「やっべぇ~・・・教科書忘れたぁーっ」
隣から朝飛くんの声。
「朝飛~♪ あたしがかしてあげるよぉ♪」
「いや~ 私が!!」
ほとんどの女子が朝飛くんのところへ・・・。
「みんなさんきゅっ♪ でもお前ら席遠いし、勉強中見れないから隣のこの子に見せてもらうわぁ~」

・・・えっ。
一瞬静まる教室・・・。
「こいつ!? 玲に!? やめときなよ~ 朝飛に霊がとりついちゃうじゃん!!」
「そうだよ~」
やっぱりみんなは大反対。
「ん? 何かよく分かんねぇけど、もうすぐ授業始まるぞ! はい、座った座ったーっ!!!」

朝飛くんに言われて、女子たちは席につく。
...キーンコーンカーンコーン...。
「えーと、名前・・・玲?だっけ? これからよろしく~♪ さっそくだけど、教科書忘れちゃってさ、見せてくれる?」
「あ・・・う・・・うん」
私は思わず言葉がつまる。
「お前さぁ~・・・何か暗いけど、どうしたの? 素はいいんだから、もっと自分に自信持てよ!!」

朝飛くんが言った言葉に、心を打たれるような感じがした。
何ていうか・・・こう、温かい感じ。
「・・・ありがとう。 友達・・・になってくれるの?」


「当たり前じゃん♪」






朝飛くん、あなたはいつでも、どんなときでも私に優しくしてくれていたよね。私は覚えているよ。 君との思い出を忘れてないよ? これが、私の人生を変えてくれた、最高の男の子、朝飛との出会い─。


現在、私には友達がいない・・・。
ううん。 今は居る。 1人だけど。
「お・・・おはよ~・・・・」

「おすっ! 噛みまくった挨拶すんじゃねーよっ」
朝飛くんはみんなに接するように同じく私にも接してくれる、すごく心の広い人。 私にとっては大切なたった1人の友達。
「玲、あのさ、家の方向同じじゃん? だったら一緒に登下校しようぜ♪ そうしたらお前も少しは安心だろ!?」
「え・・・」
一緒に登下校? 私と朝飛くんが・・・?
「いいの・・・?」
「だから誘ってんじゃんか♪」
「朝飛くんって、優しいんだね」
「女の子1人くらい守らないと♪ これが男の役目ってもんでしょっ!」

「本当にありがとう」




朝飛くん・・・言葉だけじゃ伝えきれない想いがあるよ。
朝飛くんと出会わなければ、今の私は居なかった。
朝飛くんと出会うことができたから、今の私が存在しているんだ─って、今でもときどき思うんだ。
翌日、私は今日初めて朝飛くんと登校している。
「おはよう♪」
「お~」
私はいつもとは全然違う、明るい挨拶ができた。
「今日は何かノリいいね」
「そうかな? ・・・何か、朝飛くんといつと明るくなれる気がする」
「まぢ? そりゃあ嬉しいでござんす♪」
本当だよ。 朝飛くんは私にとって特別な男の子だもん。
「何かあったらすぐ俺に相談しろよ? いとつ言っとくけど、俺は、お前と出会ったことに後悔なんてしてねぇから。 むしろ、出会えて嬉しかったからな」
「うん。 朝飛くんも何かあったら言ってね」

朝飛くんの優しさが何よりも嬉しいよ。



昼休み。
「玲~ ちょっといい?」
私は4人組の女子に呼び出された。
「あんたさぁ、最近朝飛と仲良いよね」
「あ・・・えっと・・・・」
「いや、別にいいのよ。 たださ、何であんたなんかが朝飛と一緒に登下校してるわけ!? 信じらんないんだけどっ!! あたしらだって登下校したくてうずうずしてんのにっ」
それは朝飛くんが誘ってきたから・・・なんて言えなかった。
「朝飛くんは、私にとって1人だけの大切な友達だから・・・」
こう答えるのが精一杯だった。
「ふぅ~ん? ま、朝飛とあんたは釣り合わないから無理だと思うけどね~」
「・・・え?」
「あんたさ、朝飛のこと好きなんでしょ? あたしらには関係ないけど」

私が・・・朝飛くんのこと・・・好き?
好きなの?
いやいや、違うよね・・・?
でも、はっきりと”違う”なんて言えない。
何でなんだろう・・・。


「玲~ 帰るぞっ」
私は朝飛くんに呼ばれて教室をあとにした。

「なぁ・・・お前にとって俺ってどんな存在?」
いきなりの質問。
「私にとって朝飛くんは・・・大切な友達・・・いや、特別な友達・・・かな」
「やっぱ友達止まりかぁ・・・」
「え?」
「何か悔しい。 ねぇ、俺って、お前の恋愛対象になってない?」
恋愛対象・・・?
それってまさか・・・。
「朝飛くんは私の理想そのものだよ?」
「だったら・・・俺と付き合ってみない?」
「え・・・」

今・・・何が起こったの?
もしかして私・・・告白されてる?






「待って・・・待って朝飛くん!!!」
「ん?」
「何か・・・おかしいこと言ってない?」
「何が?」
何がって・・・朝飛くん自分で気づいてないの!?
ちょっと・・・バカ(笑)?

「つ・・・付き合ってみない?って・・・人気者の朝飛くんが私なんかに言う言葉じゃないでしょ」
「は? 人気者とか人気者じゃないとか、そんなの関係ねぇし。 付き合ってみない?って聞いたら駄目なの?」
「そういう訳じゃないけどっ・・・」
私だってそんなこと言われて嬉しいよ?
でもね・・・その言葉が、信用できないの。
たとえ、朝飛くんだとしても・・・。 ごめんね。

「そっか。俺のことが信用できない訳?」
朝飛くんは全て分かっていた。
「うん・・・ごめんね」
「じゃあ、これで信じてくれる?」


もう、気づいたときには唇が触れていた。
私は目を開けたまま呆然としていることしかできなかった。
「・・・信じてよ」
朝飛くんがつぶやいた。
朝飛くんは、私にキスまでして信じてもらおうと必死だった。
何でそんなに私に尽くしてくれるの?
それは本気なの?
ねぇ、私・・・朝飛くんと付き合っていいのかな─・・・?

「私・・・も、信じたいよ・・・・・。 でも、怖いの。 今まで何回も騙されて、からかわれて・・・私は利用されていただけだったから・・・」
自然と涙が零れ落ちる。
「泣くなよっ・・・」
朝飛くんは優しく私を抱きしめてくれた。
朝飛くんの胸の中は、すごく落ち着いたんだ。 居心地が良くて、ずっと抱きしめられていたい感じ。


あの時、私はあなたの胸の中で泣き崩れました。
そう。 その日だよ。

私があなたのことを「好き」だって気づいたのは─。


私・・・朝飛くんが好きだ。

それを気づいたのは昨日。
朝飛くんに付き合ってみたい?と誘われた日だ。
「おはよう♪」
私はいつもどうり挨拶をする。
「・・・おす」
朝飛くんは何だか元気のない様子。
やっぱれい昨日のが原因?
だったら私、悪いことしちゃったかなぁ・・・。


「おい」
後ろから低い男子の声。
私が振り向くと、そこには2人の超怖い男子が立っていた。
「ちょっと顔かせ」
「え・・・・はい・・・」
私はそのまま恐る恐る2人の男子の後をついていった。

「え・・・と、何ですか・・・?」
勇気を持って、話しかける。
「お前さ、朝飛の気持ち分かってんのか?」
「え? 朝飛・・・くん?」
「あいつ、お前のこと本気で好きだよ。 何でお前なのか俺らにもさっぱりわかんねぇけど」
朝飛くんが、本気で私のこと好き?
じゃあ・・・・昨日の言葉は・・・本当に本気だったの?
「それって・・・本当ですか?」
「嘘ついてどうなんだよ。 マヂに決まってっけや」
本当に? 
本当に朝飛くんを信用していいの?
「んで、あいつ昨日「フラれたー」つって今落ち込んでる」
「・・・!!」
私・・・フった覚えありませんけどっ!!!

「私だって、朝飛くんと付き合いたいんだよって・・・伝えておいてください・・・」
私はそれだけ言って、その場から立ち去った。
もう怖くなんかない

私にはたった1人だけど友達が居る

それだけで幸せだから・・・

私も強くならないといけないの

彼に頼ってばかりではいけないの

強くなりたい



今度は私が彼を守る役目になりたい─。
ピーンポーン.....
チャイムの音に、私は急いで玄関を出る。
...ガチャッ。
「あ、・・・・っはよ」
「うん、おはよう」
気まずい挨拶。 もっと楽しく話したいのになぁ・・・。
「朝飛くんは、何か部活入ってたっけ?」
「・・・ん、俺サッカー部。」
サッカー部に入ったのかぁ・・・。
かっこいい・・・。
「今度さ、サッカーの試合あんだけど、見に来てくんない?」
まさかの誘いっ!! 
「いいよ! 応援するね♪」
「おー。 何か差し入れよろしく」
「わかった♪ 楽しみだなぁ」
私がすごく楽しそういしていると、
「やっと笑ったな」
隣から聞こえる優しい声。
「・・・え」
「お前さ、俺のことで悩んでただろ? ずっとずっと悩んでたんだろ? 泣いていいんだぞ? 悩ませてごめんな・・・。」
・・・朝飛くんは、優しいね。
私の瞳からは、大粒の涙が溢れ出していた。
「ほら、来いよ」
朝飛くんは腕を広げて言った。
「うん─・・・」
私は朝飛くんの胸の中えと飛び込んで行った。


朝飛くん・・・あのときね、悩んでたのは朝飛くんのせいじゃなかったんだよ? 正直になれなかった私自身に腹を立ててたの。 
本当は朝飛くんが好きなのに、私は何も行動に表されてないんだもん。 私が素直になれなかったせいで、朝飛くんまでを悩ませてしまってたよね。 本当にごめん・・・今、言えるならすぐ言いたい。

でも・・・言えないんだ。