「私ら一応玲のライバルだし、協力はできないけど、邪魔だけはしないからさ」
その女子の言葉にみんなうなずく。
「本当か?」
朝飛くんが確認。
「やだなぁ、嘘ついたらもっと朝飛に嫌われるじゃんか。 本当だよ」

「・・・さんきゅっ」
朝飛くんはそう言って、私の手を引っ張った。
「行くぞ」
「・・・!?」
何・・・? 何ー・・・?


私が連れてこられた場所。 そこは屋上だった。
「・・・どうしたの?」
「俺さ・・・ここに来ると落ち着くんだ。 空を眺めてると気持ちよくて・・・また来ようって何度も思う。 でも、俺が死んだらもうここに来ることはできねぇから、ここを、俺とお前の思い出の場所にしたいと思った」
思い出の場所・・・か。
「いいか?」
「・・・うん。 ていうか、学校そのものが私にとって思い出の場所だよ? 初めて朝飛くんに会ったのも学校でしょ?」
「そうだなっ・・・。お前さ、いい加減に、彼氏のこと「くん」付けで呼ぶなよなー。 ”朝飛”でいいから」
・・・そういえば、ずっと「朝飛くん」だったなぁ・・・。
「・・・”朝飛”?」
私が照れながら言うと、朝飛は優しく微笑んだ。
「もっと言って?」
「朝飛・・・・朝飛、朝飛、朝飛・・・・」




私が名前を呼ぶ度に、君は微笑んでいたよね。
あの笑顔・・・私は今も覚えているよ。
今までで最高の笑顔だったから。
人を幸せに・・・ううん、私を幸せにしてくれる笑顔だったの。
あの笑顔を独り占めしていた私はずるかったな・・・。
また君と2人で微笑み会いたい・・・
今はそれが小さな願望にもなっているんだ。