ルーズボールに戻って来たディフェンダーが追い付いて、大きく外に蹴りだしたところで長い笛が鳴った。

勝った。
勝ったんだ。
ボクがキーパーだったのに?

「やったじゃん」
と言いながら天野くんが腕を引っ張り立たせてくれた。

ポタッと地面に何かが落ちた。

鼻血だ。

初めてじゃないからすぐわかった。

カッコ悪。

どうせならちゃんとがっちりキャッチしたかった。

「チキショー」
中谷くんが悔しがってる。

フン。
いつもボクを狙ってるからこういうことになるんだ。
ざまあみろ。

・・・とは口には出さない。