そんなことを思いながら、土方はカッと目を見開いた。


「やあああああ!!!」



キーンっと刀を振るった。

御陵衛士の隊士が土方を斬り込みに来たのだ。


百戦錬磨の土方は、そんな隊士を軽く交わし斬りつけた。



「お前達に剣術を教えたのは誰だと思ってる」

「伊東、先生、だ……」

「ああそうだったな、」



鼻で笑い土方は次、と感覚を研ぎ澄ました。


夜の斬りあいは慣れているもので、やはり目がだんだん慣れてくる。

懐かしいな、出入り禁止の長州を追っていた頃が。



「土方さん」



ザッと、相手も闇に慣れた目つきで土方の前に立った。



「………平助、お前。俺とやる気か?その殺気。」



土方が笑うと平助は右手の刀を北辰一刀流の構えにとった。

くそ、斎藤何してやがる。



「お前は俺達とこい。新撰組に戻って来るんだ」



土方はなんの型もとらずに平助を見据えた。

なんでだよ、と状況を理解しようとも出来ない。



笑って戻ってくればよかったんだ。