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「……伊東を討った。じきに御陵衛士の者が駆け付けて来るだろう。その時迎え撃つ」



重い雰囲気が漂っていた。

土方に永倉原田、それから斎藤もいる。その他にも隊士がいるが、皆気を上げられないでいた。



局長、近藤を討ち新撰組を乗っ取ろうと考えていた伊東一派、

彼らは仲間だったはずなのに、

今は参謀伊東甲子太郎を討ち、一派と正面衝突することになってしまったのだ。



裏切り者には粛正を。



何事にも容赦のなかった土方だ、
だがいつも一番心を痛めている。



はぁ、と永倉の肩が落ちた。



御陵衛士を待ち伏せるために、彼らは飯屋の二階に陣を張って様子を伺う。


夜の七条油小路。


ここに平助が来れば、どうなる……?


「土方さんよぉ平助はどうするだ?」


皆思うことは同じか原田が窓から外を見るのをやめて土方に聞いた。


土方は部屋の隅に座りながら視線を下げる。
考えてるんだ。



「………平助には戻って来てもらおう。斎藤、そこは頼んだ」

「承知……」