見てごらんと桂はページをめくった。


「わぁ」


キタジが綺麗に並んだ文字を見て珍しく声を漏らす。



「これ、」



君に贈るの途中のページ、開くとなにかがこぼれ落ちた。


「押し花?」



そう、と桂が落ちた押し花をひろいあげる。

それは紫の藤の花だった。

とても綺麗に形が残ったそれは、細い枝に三つ咲き残った小さな藤の花がついている。

藤といえば5月頃の花、
謎は深まるばかりだけど、だんだん楽しくなっていた。




「へぇ、未来から来た藤の花。まるでお伽話どすねぇ」



それは桂だけではなく幾松ものようで、言ったのにキタジもコクコクと頷いた。