─田原なんて、いなくなってしまえばいい。



…そんなことを思う自分がいて、そんな自分に酷く驚く。



─田原さえ、いなければ。





汚い。


俺は、俺の心は、凄く…凄く汚い。



拭おうとしても、そんな自分の手すら汚れているから。

自分自身で、泥を塗る。


抜けられない。



─深みに、はまる。




道にあった石ころを蹴る。

ソレは行き場を失ったように、道から反れて溝へと吸い込まれていった。




人はきれいな気持ちばかりでは生きられなくて…



でも、こんなにも、

重くて

暗くて

汚い

こんな気持ちが俺の中にあったなんて。



俺は、知らなかった。









…知りたく、なかった。